【CSS】@property構文を使ってカスタムプロパティ(CSS変数)にルールを定義する

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TypeScriptの型定義のように、CSSのカスタムプロパティに対してルールを設定する方法について学びました。

目次

@propertyとは

ルールを設定してカスタムプロパティを登録できる構文です。

設定できるルールです↓

  • syntax(値のデータ型)
  • inherits(プロパティ継承の有無)
  • initial-value(初期値)

syntaxとinheritsはどちらも必須です。initial-valueは、場合によって省略可能です。

コード例です↓

@property --main-color {
  syntax:"<color>";
  inherits:true;
  initial-value:#fafafa;
}

body {
 background-color:var(--main-color);
}

Chrome118から、@propertyを使って定義したカスタムプロパティについて検証ツールから確認できるようになります(現在はComputedパネルから値を参照するしかない)↓

The Elements panel now supports the @property CSS at-rule. It lets you define CSS custom properties explicitly and register them in a stylesheet without running any JavaScript.

To inspect your registered custom properties, in Elements > Styles, hover over the property name and see its descriptors in a tooltip. In the tooltip, click the link to view the registered property in the collapsible @property section.

What’s New in DevTools (Chrome 118) | New section for custom properties in Elements > Styles

以降より指定できるルールについて詳しく解説していきます。

syntax(値のデータ型)

syntaxルールでは、カスタムプロパティに値として指定できるデータ型を引用符で囲って定義します。

このルールは必須です。省略すると無効になります。

以下2種類のルール指定方法が存在します↓

  • 定義済みの型を使って指定
  • 記号を使って指定

定義済みの型を使って指定

仕様で定義されている型を使うことができます。

以下のようなデータ型が指定できます↓

  • <length>
  • <number>
  • <color>

コード例です↓

@property --property-name {
 syntax:"<number>"; //単一のnumber型の値のみ受け入れる
 //省略 
}

その他に指定できる型は仕様書を確認してください↓

記号を使って指定

以下4種類の記号を使って定義できます↓

  • プラス記号(+)
  • ハッシュ記号(#)
  • パイプ記号(|)
  • アスタリスク記号(*)

プラス記号(+)

定義済みの型の直後にプラス記号を記述します。

これはスペース区切りの値を受け入れます

コード例です↓

@property --set-position {
  syntax: "<length>+"; // スペース区切りのlength型の値を受け入れる
  inherits: false;
  initial-value: 50px 50px;
}

.hoge {
  translate:var(--set-position);// xに50px、yに50px移動
}

ハッシュ記号(#)

これはカンマ区切りの値を受け入れます

コード例です↓

@property --main-color {
  syntax: "<number>#"; // カンマ区切りのnumber型の値を受け入れる
  inherits: false;
  initial-value: 50,255,30;
}

body {
  background-color: rgb(var(--main-color)); // rgb(50,255,30)
}

パイプ記号(|)

パイプ記号で決められたルールを繋いだり、任意の値を繋いで定義できます。

コード例です↓

//複数の決められたルールを繋ぐ
@property --property-name {
 syntax:"<length> | <percentage>"; //長さまたはパーセント値を受け入れるが、両者を組み合わせた calc式は受け入れない(calc(50px * 10%)はだめ)))
 //省略 
}

//任意の値を繋ぐ
@property --property-name {
 syntax:"small | medium | large"; //「small、medium、large」のいずれかを受け入れる
 //省略 
}

//任意の値と決められたルールとカスタムルールを繋ぐ
@property --property-name {
 syntax:"small | <integer> | <color>#"; //「small、単一の整数、カンマ区切りの色リスト」のいずれかを受け入れる
 //省略 
}

アスタリスク記号(*)

これは全ての値を受け入れます

これが指定された場合のみ、initial-valueは省略可能です。

コード例です↓

@property --custom-property {
  syntax: "*"; // 全ての値を受け入れる
  inherits: false;
  initial-value: 省略可能;
}

inherits(プロパティ継承の有無)

CSSにおいて継承とは、ある要素のあるプロパティに値が指定されなかった場合の挙動を制御しています。

inheritsルールでは、trueまたはfalseが指定できます

このルールも必須です。省略すると無効になります。

true(プロパティ継承あり)

親要素がカスタムプロパティの初期値を上書きした場合かつ、子要素がカスタムプロパティを指定しなかった場合、子要素のカスタムプロパティの値は親要素が上書きした値になります。

コード例です↓

@property --main-color {
  syntax: "<color>";
  inherits: true; //プロパティが継承される
  initial-value: #000;
}

//親要素が初期値を上書き
.parentElement {
  --main-color:#fafafa;// #fafafaに上書き
  background-color:var(--main-color); // #fafafa
}

//子要素
.childElement {
 background-color:var(--main-color); // #fafafa
}

false(プロパティ継承なし)

親要素がカスタムプロパティの初期値を上書きした場合かつ、子要素がカスタムプロパティを指定しなかった場合、子要素のカスタムプロパティの値は初期値になります。

コード例です↓

@property --main-color {
  syntax: "<color>";
  inherits: false; //プロパティが継承されない
  initial-value: #000;
}

//親要素が初期値を上書き
.parentElement {
  --main-color:#fafafa;// #fafafaに上書き
  background-color:var(--main-color); // #fafafa
}

//子要素
.childElement {
 background-color:var(--main-color); // #000 初期値が設定される
}

initial-value(初期値)

これはカスタムプロパティの初期値を指定します。

指定するときは、syntaxルールで指定した型に従う必要があります。

このルールは、syntaxルールにアスタリスク記号が指定されている場合を除き、必須です。

誤った型を書いたり、syntaxルールにアスタリスク記号以外が指定されている場合に省略すると無効になります。

無効な値を指定して、var関数を使ってプロパティにセットした場合、そのプロパティには初期値が設定されます↓

@property --main-color {
  syntax: "<color>";
  inherits: false;
  initial-value: 10;// color型ではない無効な値
}

body {
  background-color: var(--main-color); // background-colorの初期値である、transparent(rgba(0,0,0,0))が設定される
}

無効な書き方をした場合

@property構文でルールを指定してカスタムプロパティを登録したにもかかわらず、そのルールに違反した書き方をした場合、プロパティの値は登録された初期値を設定します↓

Registering a custom property must not affect the cascade in any way. Regardless of what syntax is specified for a registered property, at parse time it is still parsed as normal for a custom property, accepting nearly anything. If the specified value for a registered custom property violates the registered syntax, however, the property becomes invalid at computed-value time (and thus resets to the registered initial value).

4.1. The registerProperty() Function

コード例です↓

@property --main-color {
  syntax: "<color>";
  inherits: false;
  initial-value: #000;
}

body {
  --main-color:10;//ルール違反
  background-color: var(--main-color); // 10は無視されて#000が入る
}

構文を使わずに書いた場合との違い

@property構文を使わずにそのままカスタムプロパティを登録した場合、アニメーションタイプが離散型のためアニメーション不可ですが、構文を使用するとカスタムプロパティのアニメーションが可能(補間が効く)になります

グラデーションに対して補間したり、シンプルなテキストのカウントアップアニメーションが可能になります。

グラデーションの補間について確認する↓

ブラウザ対応状況

現時点(2023年9月22日)ではFirefox以外対応しています。Firefoxは119から対応します。

ブラウザ対応状況について確認する↓

参考サイト

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